2008年10月10日金曜日

ノーベル賞と金融危機

ノーベル物理学賞、化学賞の受賞ニュースとときを同じくして、金融危機のニュースが新聞紙上を賑わしています。
「日本人の」という括弧付けに違和感を覚えるものの、人間界を含めた自然界全体の根本的成り立ちを理解しようとする動きにはとても共感を覚えます。
一方の金融危機は、実体の存在しない人間界独自のルールである金融・経済の混乱によって、物理的な存在を扱う=ものづくりをする建築の現場や工務店に多大な影響が現れていることに強い違和感を感じます。

建築では、素粒子の振る舞いを理解しようとするときに必要とされるような高度な知見は求められないものの、人間スケールの物性と経時的挙動への深い理解が欠かせません。また、金が金を生む奇妙なルールは必要ないものの、施工・流通・素材の対価_・人件費などの実体経済への理解も欠かせません。

小林秀雄が言ったという言葉、
『「美しい花」は存在するが、「花の美しさ」は存在しない』

ものづくりに関わる者として、物を地球上の一点に定着させる仕事に就く者として、この言葉は肝に銘じておきたい。
その上で、「花の美しさを感じ取ることはできる」という実感も忘れずにいたい。

[ben]